佐々木悠斗
=佐々木悠斗side=
これは、大変だ。
斉藤さんは、何の気もなく可愛いことをぽつりと口にする。
こっちが何の用意もしていないのに、急にするから、こう溢れた衝動をどこに持って行けばいいのか、俺にはわからない。
感情を抑える術をちゃんと作らないと。
ああ、本当、こうなって思うよ。
お兄さんは、よくもまぁ、手も出さずに我慢できていたものだな、と。
「佐々木くん?」
一人葛藤していたら、斉藤さんが心配して俺の顔を覗きこむ。
駄目だ。俺…
「好きです。俺、斉藤さんが、好きです」
「え?」
「あ……」
やってしまった。
勢いに任せて、俺、言ってしまった。
斉藤さん困っているじゃないか、俺。
何してんだよ、俺。
「えと、俺も好きだよ?」
小さく微笑みながら斉藤さんは言った。
俺、幸せすぎて、しばらく、動けずにいた。
ま、斉藤さんの言う、好きと、俺の好きの意味が違うことはわかっていたけど。
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