ギュッと抱きしめられた。
俺は突然のことに固まった。
どうしたらいいのか、わからない。
どうしたら、いいんだ?

「さ、佐々木くん?」

「なんですか?」

困って彼の名前を呼んだら、ちょっと意地悪な声で聞かれた。

「あの、どうしたの?」

「どうしたと思います?」

「えと?」

俺は考えた。出来る範囲でたくさん考えた。
抱きしめられる意味はわからない。

「なんてね! 驚いた?」

俺を解放すると佐々木くんは満面の笑みを浮かべた。
からかわれていたんだろう。

俺は「驚いたよ」とバクバクうるさい心臓の上に言葉を重ねる。

どうしたんだろう、俺。
すごく緊張している、なんだか恥ずかしい。
おかしいな、いつも一緒にいる佐々木くんの横を歩いているだけなのに。

なんで、どうして?




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