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「おいしかったね〜」
俺はラーメン屋さんをでると思いっきり伸びをした。
佐々木くんは何か言いたげに俺を見つめていた。
「どうしたの?」
「いえ、俺に対しての斉藤さん、丁寧だなって思って」
「え?」
「さっきの男の人には普通だったのになって」
「そうかな、あんまり意識していないかもしれない」
「そっか」
意識していないのか、と佐々木くんは呟きながら、瞳を閉じる。
そして、次に開いた時にはいつも通りの佐々木くんが人懐っこい笑顔を浮かべて「ショッピングモールとか見て行きません?」と提案してくれた。
少しラーメン屋さんを出るときに感じた、寂しさを思いだし、俺は微笑むと、頷いた。
もう少し、今日は佐々木くんと一緒にいられるんだなって。
なんだろうな、この乙女みたいな思考。
「佐々木くん、今日はありがとうね。佐々木くんと一緒におでかけできて、嬉しい」
「斉藤さん…!」
「え?」
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