俺のことだから、聞きたい?
佐々木くんはいつも優しい言葉をかけてくれるな、と思った。

「じゃあ、入りましょうか?」

「うん」

店の中に入るとすごく湯気が舞っていた。
なんだか、ラーメン屋に来たって感じがする。

「いらっしゃいませ!」

元気にカウンターの横から出てきた青年に佐々木くんは「2名です」とピースをしている。
が、俺はじっと青年を見つめた。何処かで見たことのあるような…

「あ、斉藤!」

「え?」

どうして俺の名前を知っているんだろう。
何処かで、会った…ような?

「あ! 朝、メールくれた」

大学の知り合いだった。

「そうか、ここ、お前の」

だから、見たことのある名前だったんだ。お店の名前。
というか、人の名前と顔をあやふやにしか覚えない俺、駄目だろう。
ま、そんなに頻繁に会っていない人だから、しかたないのかもしれないけども。




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