倉田英二
=倉田英二side=
『好き』か『嫌い』か、で言うならば、『好き』だった。
君の笑顔が好きだった。
なのに、いつからだろう。
いつから、俺は一人で舞い上がって、君も、俺に気があるんじゃないかな〜とか、自惚れ出したのだろう。
君と俺じゃ、住む世界が違うっていうのに。
『好き』だと告白して、ふられて、君を『嫌い』になった気でいた。
そんなはずあるわけがないのに。
振られた後…
君を見る度、胸が痛んだ。
想いが届かなかったと、期待が外れたと、悲しんでいたのだろう。
そう、俺が傷心している理由なんてそんなものだと思っていた。
でも違った。
俺は、やっぱり君のことが『好き』で。
君が落ち込んでいることが辛かった。
何より君から、あまりない元気をとった俺が許せなかった。
気にしないでくれって言いたかった。
君はきっと優しいから俺を傷つけたとか、考えているんじゃないだろうかと。
心配になった。
全ての原因は、俺が勝手に好意を寄せて勝手に告白して勝手に傷ついたことにあるというのに。
そんなあたり前のことに気がついた。
悠斗が『嫌われるのが怖い』と言うのを見ていて、気がついた。
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