次の日の夕方も、佐々木くんはお店に顔を出してくれた。

「店長なら、昨日で事務処理を終えて帰られたから、しばらくはいない」

俺は心配そうな佐々木くんにそう伝えると、花束を作り続ける。
もう少ししたら、これを予約している方が取りに来られる。

「すごい、手つき、いいですね」

佐々木くんはそう言って笑った。
俺は「そんなことない」と否定した。
これくらい、誰だって、簡単にできるようになる。

「斉藤さん、緊張しているんですか?」

「え?」

「なんだか、そわそわしているっていうか、落ち着きがないっていうか」

「………実はね、今日は久しぶりのお客さんがくるんだ」

今日の朝、電話で急に予約をくれた、常連だった彼。
俺が傷つけてしまった彼。
俺はちゃんと普通に接することができるだろうか?

「だから斉藤さん、緊張しているんだ」

「そう、かも」

俺はどうしてか後ろめたくて俯いた。

「斉藤さん。本当に、それだけ?」




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