佐々木悠斗
=佐々木悠斗side=
お兄さんの作ってくれたカレーを食べながら、俺はまだ落ち込んでいた。
するとお兄さんは心配そうに俺の話しを聞こうとする。
「話せる範囲で話してくれないか?」
「いやだよ。俺」
「変に大人ぶるなよ、高校生」
「うるさい」
「可愛くないな、悠斗」
「別に可愛くなりたいなんて、思ってもいないし」
そうか、とお兄さんはおかしそうに笑うと、何も言わなくなってしまった。
沈黙に耐えられなかった俺は、今日だけは…と、お兄さんに甘えることにした。
「……そのさ、俺、運命の出会いをしたような気になっていたんだ。でも、俺、ただ俺が一人浮かれて、その人に付きまとっているような気がしてさ。自分勝手なのは知っていたけども、嫌われたくないって思ったんだ。その人に。そうしたら、すごく、怖い。こんな、自分が怖い」
「なんだよ、それ」
「つまりさ、俺が、本当、駄目な奴って知られて、嫌われるのが怖い」
「悠斗、それ、本気で言っているのか?」
「本気じゃなかったら何なんだよ」
「そうか本気なんだな」
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