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そもそも、男同士なのに、さもあたり前のようにイケメン店長は、彼に対する俺の淡い恋心を受けとめてくれた。分かってくれた。と当時は思っていた。今にして思えば、あれは、面白がっていただけだろうが。
馬鹿だったと認めよう。
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「悠斗、俺は本当に嘘つきだ。でも、お前がそんな顔しているのが心配だ」
カレーを温めていた火をとめると、俺は悠斗の方へと歩み寄った。
悠斗は学生服のまま、半泣き状態だった。
「心配って何さ、心配なんていらない」
「悠斗…」
「心配されるようなこと、俺、してない!」
声を荒げた姿なんて、いつ以来だろう。
俺はぼんやりとそんなことを考えながら、悠斗をただ見つめていた。
何もしてやれないんだな、と納得して、またカレーの入った鍋に火をつけた。
「なら、いいじゃないか」
俺は淡々と言う。
「いつも通り、俺の作ったご飯食べて寝ろ。そして、朝目を覚ましたら、学校へ行け」
「わかっているよ、そんなことくらい」
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