佐々木悠斗




=佐々木悠斗side=


人は皆、自分勝手だ。
だから人である俺も自分勝手でいい。
楽しいことだけをし、好きなものだけを愛でる。
あたり前じゃないか。
そんなこと。

「お兄さん、俺って汚かったのかな?」

今日の夕方店長に言われたことを俺はどうやら気にしているらしい。
おかしな話だ。全く。

「お前らしくないことを言うんだな」

お兄さんは晩ご飯を用意しながら振り返る。
俺は「本当、らしくない」と笑った。

「らしくない、どうして、俺……」

斉藤さんのこと気になるんだろう。
離れたくないって、ずっと一緒にいたいって、思うんだろう。
辛い。

「悠斗、お前、変な顔をしているぞ?」

「お兄さんだって、変な顔しているくせに」

「俺のは生まれつきだ」

「嘘吐き」

俺がわかっていないとでも思っているのだろうか。最近ずっと悲しそうじゃないか。大好きだった花も買いに行かなくなるほど、何かを失ったようにしてさ。




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