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「斉藤さーん」

夕方、俺の名前を呼ぶ声が花屋に響いた。
俺は元気なその声にホッとした。
佐々木くんだ。

「佐々木くん」

どうしたの?と俺は小走りに彼のもとへと走る。
店長も俺の後をついてくる。
普段、接客の時とかは、ついてくることのない人なんだけども、佐々木くんの元気な声に惹かれたのかもしれない。

「…………」

しばらく俺を見つめていた佐々木くんは黙って店長に視線を移した。
俺は「店長です」と店長を紹介した。そして店長には「佐々木くんです」と佐々木くんを紹介した。

佐々木くんは人懐っこいし、店長は無愛想だけど人が好きだから、二人はすぐに仲良くなるんじゃないかと思ったのに、

……あれ、なんか、変。



「えっと」



俺は二人を交互に見る。
どうしてそんな顔で二人とも黙りこんでいるの?




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