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「なんだよ、それ、男と飯食いに行くからって、早退したのかよ、お前は!」
夜ごはんを食べながら、俺は国語の先生…ではなく、幼いころからよく構ってくれている近所のお兄さんに事情を全て話した。
「しかも、結局会っても、学校に送り返されているじゃん」
なんだよ、とお兄さんは鼻で笑う。
「違うよ、あの人は俺のこと心配してくれたんだ。だから、学校に返してくれたんだ。俺はそう思う」
自分自身、驚くくらいまっすぐな言葉が出る。
「心配なぁ…。だったら、はじめっからそんなわけのわからん時間に待ち合わせするもんじゃないだろ」
「そうかもしれない。けど、俺は、お兄さんでもあの人のこと悪く言わせるつもりはないよ」
「お前なぁ、偉そうな口を聞くなよ。お前の両親が出張でいない間、俺がこうして夜ごはんとか面倒みてやってんだからな!」
「それはありがとう。でもお兄さんは俺のこと見捨てないと思っている。だから、俺がつけ上がるの。わかる?」
「わかっている。わかっているけど、さ……」
「いいじゃん別に。俺がどこで誰にどう扱われようと」
「ああ、そうだな。そうなん、だよ……な」
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