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=藤井side=
『ニクシー』を始めたのは気まぐれだった。
だけど…その気まぐれのせいで、こんなにも今、おかしな感情が胸の中で渦巻いている。
どこからどうやって彼の日記に辿り着いたかなんてことは覚えていない。
でも、彼の日記を読んだ時のことは今でも鮮明に覚えている。
学校に来ない人を一途に待つ姿勢にすごく俺は引き寄せられた。
ただの暇つぶしのはずだった、気まぐれ程度の『ニクシー』で、俺は彼の日記を毎日のように読みに行っていた。
そしてついに、俺はある日、『ニクシー』をちゃんとしようと決め、彼に『マイニク』のお願いをしてみた。
ただ彼の日記を読むには、『マイニク』になる必要はないけど、やっぱりコメントとかしたり、また俺の日記も読みに来てくれたらいいのにって思ったからだ。
我ながら、どうかしていたんだと思う。
でも、どうかしていても、よかったんだと思う。
学校に行かず家に居る時も、芸能界の仕事をしている時も、いつでも、彼の存在が俺に対して大きくなっていった。
純粋に、俺のこと…心配してくれているのだと思うと…それがひどく嬉しかった。
本当に情けない話である。
彼が待っているクラスメイトは、俺だったんだと、知った日から、俺はさらに、どうしようもなくなっていく…
もし、俺が登校したら、彼は喜んでくれるのだろうか、とか、本当にくだらないことを考えて、すごく幸せなのだから…これまた不思議なことだと思う。
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