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「最近、勝山、彼女にかかりっきりだね」

下校中、俺は正輝に呟いた。
いつもうるさいくらいそばにいたから、勝山がいないと寂しい。
俺みたいな人見知りと仲良くなってくれたのに、勝山は彼女にかかりっきり。
なんか俺なんてどうでもいいみたいで寂しい。

「ま、勝山には勝山の事情があるんだろうな」

「そうかな…俺寂しいな…」

「潤、は、俺だけじゃ駄目?」

「ええええ、あ、やあ、そのそのそういう意味じゃないんだよ!」

最低だ俺。
正輝が俺の隣に今いてくれているのに、寂しいなんて。

「ごめ、違うんだよ。俺、そう言う意味じゃなくて、ただ単純に勝山がいないと寂しいなってことで、べつにその正輝だけじゃ駄目って意味じゃないの!」

「あはは、よかった。かなり誤解した」

「ごめん」

「落ち込まないで潤。いいんだよ。今一生懸命、弁解してくれたの嬉しかったし」

正輝はにっこりと笑うとそう言ってくれた。なんて優しんだろう。

「正輝、ありがとう。でも、いつか正輝にも恋人が出来て、勝山みたいになってしまうのかな。一人になっちゃうな、俺……ってあ、ごめん、聞き流して」




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