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裏切るってどういう意味なのだろう。
俺はそう思いながら不用心に開けっぱなしの扉から藤井宅に入った。
いちお鍵はかけた。なんとなく芸能人の家だもん。危ないことがあるかもしれない。
とりあえず、何個かある鍵をかけて、俺は階段を上った。
俺の家なんかとは何が違うのかわからないが、正輝の家の階段はとても登りやすくて綺麗に光っている。
俺って場違いなところにきてしまっただろうか…?
そんな不安も抱えながら正輝の部屋の扉を開いた。
正輝の部屋は、普段の正輝からも、アイドルの正輝からも考えれないほどに、何もないような部屋だった。
必要最低限のものしかない。
「あ…」
そんな殺風景な部屋のなかに、俺と勝山と正輝で撮った写真があった。
たしか、正輝が急に俺と勝山を並べて、撮影したやつだ。
何も聞かされていなかった俺も勝山も間抜けな顔をして映っている。
どうしてこんな写真なんか…。
俺は自分の間抜け顔を見て恥ずかしい気持ちになる。
でも、俺がそう思っているように、正輝も俺や勝山のこと友達だと思ってくれているのかもしれないと思うと嬉しくなる。
ほほえましい気持ちで、その角を曲がった部屋の中を見つめると、正輝はベットの上に乱雑に転がっていた。
その姿があまりにも悲痛に感じた。
俺はしばらくベットの上で寝ている彼の、傍で、泣いてしまった。
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