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教室の掃除当番が終わると俺は正輝の家を担任に聞いて、走り出した。
勝手なことして悪いとは思った。
でも彼が心配で心配で仕方なかった。

俺は藤井正輝の大ファンだし友達だし、これくらい許されるよね。

そう思いながら彼の家の前まで行くと、ちょうど正輝のママと会った。
とても正輝に似ていた。
藤井正輝は母親似だったのかと、また俺しか知らないことを知ったような気分になる。

「あの、はじめまして。俺、正輝くんの友達の大野です。彼、ご体調はどうでしょうか?」

「え、ああ、大丈夫よ。ちょっと気持ちが凹んだだけみたい。あの子、いつもああよ。何かあったらすぐに部屋にこもってしまうのよね。よかったら、入って。あの子の部屋は三階の一番奥だから」

「え、あの、入って…いいんですか?」

「貴方ならいいわ。他の子がきたら門前払いだけどね。なんで貴方ならいいかってことは…説明はできないけど。しいていうなら、あれね。正輝の机の上に貴方ともう一人誰かと正輝がうつっている写真が飾ってあったからかな。うん。そうね。正輝と仲良くしてくれているみたいだし、信頼しているわ」

「信頼って…その」

「正輝を裏切らないってことよ。あ、時間が。もう行くわね」

「あ、あの…」

俺の返事も待たないまま、正輝のママは走り去ってしまった。




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