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=勝山side=
正直に言おう。
俺はなんとなく藤井が大野のことを特別扱いしていることには気がついている。
だけど気がつかないふりをしている。
特にそこには何の意味もない。
ただ単に、俺には関係のない話だからだと言ってしまえばそれまでだな。
それまでだったはずなんだが、今日の昼休みに女子がキャッキャッと騒いでいた出来事を見て、俺は気がついてしまった。
大野も藤井のことを特別に思っているのではないかと。
はじめは大野の藤井に対する態度は、アイドルのファンだからだと思っていた。
だけどよくよく考えてみれば少しそこにはずれがあるような気がした。
大野は前に言っていた。
『藤井はみんなの藤井だもん』と。
なのに、今日のお昼休みの大野の表情はまるで自分以外の誰かが藤井のことで騒ぐのが嫌そうな顔をしていたんだ。
俺には関係のない話か…そうでないのか、そんなことを延々と考えて思った。
どっちにしても俺は何とか二人をくっつけてやろうと。
お互いに同じ気持ちでいるみたいなのに、全く二人して不器用な奴らだ。
俺が彼女以外の人間にこうやって優しくする日がくるなんてなんともおかしな話のようだ。
ただ問題なのは…大野の方だ。
あいつは自分の気持ちが特別な好きだってことに気がついていない。
たぶん、藤井の方は自覚しているだろうけど。
とりあえず、大野が自分の気持ちに気がついて認めるところからスタートなのだろうか。
「よしっしゃー。見てろよ。この恋愛の神様、勝山の手にかかれば!」
きっと何も恐れることなんてないんだ。
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