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「え、俺?」
潤は不思議そうな顔をした。
俺はそんな潤のおでこに触れるか触れないかのキスをして、抱きしめた。
「潤に会ったら、悲しい気持ち、軽くなっちゃったしね」
「俺、何も、できなかったのに。お話聞くことしか…」
「充分だよ。潤が潤で、俺の話しを否定しないで聞いてくれた。それが、それがもう特別なんだ。特別だ」
「あ……うん」
潤は顔を赤くして微笑んだ。
俺は潤から手を放すと距離をとった。
友達同士の距離をとった。
「ごめん、俺、寝起きはつい甘えたになる」
俺は言いわけをする。
「だから文句は言わせないよ。寝起きの俺に近づいた潤が悪いんだからな」
俺は責任転換をする。
俺は、必死に、なって、誤魔化す。
だって俺たちただの友達だもん。
特別な意味なんてあったらおかしいよね。
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