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そう、ずっとこの部屋にこもっているつもりだった。
でも君に会えて俺は…
「でも彼も幸せを見つけたんだ。とてもね、愛おしいって思える人がいるんだ。だから、彼は、頑張るんだって。次はちゃんと上手に向き合って、ちゃんとしていきたいんだって」
今日は、急に女子に変な騒がれ方をしたから、怖くなって教室から逃げてしまったけども。
いつまでも、この部屋にこもっているだなんて、俺にはできない。
「潤」
俺は彼から身体を放すと、向き合って、笑った。
「彼の話、夢で見ていて思った。俺も頑張らないとなって」
「うん…でも頑張りすぎないで…」
「え、やだな。俺は平気。辛いのは夢の中の彼」
「じゃあ、どうして正輝は、辛そうなの?」
「どうしてだろう。彼の環境が少し俺に似ていたから、かな」
「辛かったんだね」
まるで自分のことのように悲しそうな顔をして潤は俯いた。
「ううん、でも、それは過去形だよ。今は俺には潤がいる」
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