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「お前、声が優しくなったな」

明日、発売されるCDをマネージャーは聞きながら俺にそう言った。
ちなみに今は移動中の車の中だ。俺は助手席に座っている。
チョコレートの宣伝用ポスターの撮影のために現地に向かっているところ。

「そうですかね」

「ていうか、声じゃなくて全体的に、優しくなった。なんか、接しやすいよ。こんなこと言ったら駄目だが、前は完全に、自分の殻に籠っているタチで、誰も近づけさせないような雰囲気だったじゃないか」

「否定はしません」

「な、ここだけの話、なんだが、最近学校に行くようになったらしいじゃないか? 友達もできたらしいな。ネットで見た。ま、情報源がネットだし、信憑性に欠けるがな。でもお前、平日には仕事入れないようになったし、感心だ。前は毎日が日曜日ですとか言ってたそうじゃないか」

「そんな時期もありましたね。あ、学校には行ってますよ。友達もできました。こう見えて俺なりに青春してるんです」

「そうか…ならいい」

マネージャーはそう言うと交差点を曲がった。

「でもな、お前、自分が藤井正輝だってこと忘れるなよ。最近じゃ、お前、また人気が上がってんだからな。お前自身もそうだが、お友達も変なことに巻き込まれないように細心の注意を払うんだぞ」

「そんな大袈裟です」




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