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俺は上機嫌だった。
コンビニで、もしかしたら彼の役に立てないかと思って必死にとったノートのコピーをしながら、彼が喜んでくれる姿を思い描く。

「違うんです。この人そっくりさんです。そっくりさんなのです。似てますけど、藤井正輝じゃないんです。違うんですー!」

「………勝山、気づかい、は、ありがとう…」

俺のとなりでずっとそうやって他の人を寄せ付けないようにしてくれるのは、大変嬉しいし、助かっている。

ただ…不審な目で見られている感が、今はかなり気まずい。

ほら、コンビニの店員なんて、内線の近くに一人待機し始めたし。



*****


その時、俺はいいことばかり考えていた。
彼の家にお見舞いに行って、こうして帰宅し、自分のベットの上に倒れ込むと自己嫌悪に走った。調子にのってしまったのだと。

『風邪がうつったらヤです』と、そっぽをむいた彼を思い出す。
そう言った彼を思い出して、苦しくなる。
一度も目を合わせてくれなかった…俺は彼が俺の顔を見たら喜んでくれるって思って、自惚れて、いたのに。
ただ俺は彼の喜ぶ顔が見たかっただけなのに。

俺がお見舞いなんて、本当は迷惑だったのかもしれない。




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