１５
授業中、振り返ると空席が一つ。
俺はそれが寂しく感じた。
『ジュン』もいつも俺の席を見つめて、こんな気持ちでいてくれたのだろうか？
わからない。わからないけど、そういうふうに、想像すると温かい気持ちになる。
彼に自分が『ふじのん』であるということは告げるつもりはないが、彼とは仲良くなりたいと思う。
贅沢な俺だ。
昼ご飯を勝山と食べながら、俺は彼のことばかり考えていた。
勝山はそんな俺に臆することなく彼女の惚気話をぶつけてきた。
俺はそれなりに聞いて返答をした。
でも、勝山は俺の返答なんて全く聞いてなかった。
よっぽど彼女のことが好きで周りが見えないのだろう。
そう思うと羨ましいと思った。
勝山の笑顔があまりにも幸せそうでいいなと思った。
俺は『ジュン』と二人で笑い合って、いる、ところを想像した。
「…………」
そして、気がついた。
俺は、俺は…
「勝山、好きになったら、それはしかたないことだよな…？」
「ああ、好きなものは好きだ。仕方ないって言うよりも正直になればいいと思うぜ。藤井ほどの人なら、相手も喜んでくれるんじゃない？」
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