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でもやっぱり俺は馬鹿である。
彼があの教室に居るのだと思うと、嬉しくて、どうしようもなくて、少し、運動場から、教室を見つめていた。
そして、ふいに彼が窓際にきて、勝山に絡まれていた。
勝山がうらやましいと思うよりも早く俺はその場から走り去った。
後ろから勝山の大きい声で「お大事に」と聞こえた気もしたが俺は振り返られなかった。
だって、だって、今、目があったんだよ。

俺、藤井正輝と目があったんだよ。

画面越しじゃないよ。
大多数の中でじゃないよ。

さっき、一対一であったの。


*****

「ただいまー熱がすっごいでたから、帰ってきた!」

俺はいきおいよく家に入る。
母さんは元気じゃないの。とまた言う。

俺は学校でもらった早退理由の備考欄を母に見せる。

そこにはこう書かれていた。

「39度の熱」

そしてさらにあとに俺の風邪は、インフルだったと医者に知らされた。
どうか、彼にうつってませんように。




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