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学校についてから気がついた。
家に荷物置いてきてしまったこと。
でも、校門の前まで行くとどうしてか担任の先生と鉢合わせになって、教室に連行されてしまった。

そんなこんなで朝のホームルームが始まった。

みんながやがやしている。
俺はそわそわしている。

いつも空席だったところに、彼が座っている。
俺の目の届くところにいる。
双眼鏡もいらない距離。
そして液晶が間に挟まっていないこの感動。
俺はどうしたらいいのかわからないくらい幸せで、心臓が痛かった。
あまりにも痛くて、どうにかなるんじゃなかって思った。
幸せすぎて、苦しかった。
苦しかった。

思いだせば、俺、風邪だった。
咳はひどくなってきたし、鼻水はじゅくじゅくだし…
泣きたい。

大好きな藤井正輝がすぐそこに座っているのに、俺は、こんなみっともない感じでここに居る。
やっぱり薬だけでも飲んできた方がよかったのかもしれない。
そう思ったのは、一時間目も終わらないうちに保健室に行き、早退している途中のことだった。

ああ、藤井正輝がせっかく登校してきたくれたのに。
どうして俺は…
でも、もしなんらかの理由で彼に風邪がうつったらと思うとウィルスは帰宅だ。




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