「どうしたんだ? クラスがわからないのか? 藤井なら俺と同じだから連れってやる。安心しろ。あ、俺の名前は、勝山。よろしくな! あ、そうそう、俺の友達がお前の大ファンなんだよ! 紹介してもいいかな? あ、駄目だったら、それでいいし」

「あ、ああ、構わない…」

俺は勢いのいい勝山の言葉に頷きながら、さっきの喧騒を物陰から心配そうに見ていた男の子を思い出した。
でもま、都合よくその子が『ジュン』というわけでもないだろうし…いいか。

「勝山、さっきはありがとう」

助かったよと俺はお礼を言った。すると勝山が驚いた顔をしていた。

「あれ? 有名人って、もっとツンとしているものじゃないの? いや、そんなお礼とかいいし。てか、有名人ってそんなに案外、へらへらして笑うの!?」

「……どうだろう、わからない」

俺は答えに困って適当に濁した。
すると勝山がまた言葉を大量に投げかけてきた。
俺は曖昧な笑みでそれをかわした。

勝山は悪い奴ではないと思った。でもちょっとめんどくさいとも思った。
だから、ふと、彼の言う友達が『ジュン』ではないかと少し、期待してしまった。

だって、さ、こんなにも思ったこと言って思ったことする破天荒な人には『ジュン』くらいどこかぼんやりしてて、優しくないと、友達は務まらないと思う。




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