その後、たわいのない話をして、中野くんとも別れた。
一人で家に帰ると兄ちゃんが出迎えてくれた。

俺はずっと言えずにいたけども、恋人ができたことを兄ちゃんに伝えた。
兄ちゃんはすごくさびしそうな顔をしたけども、喜んでくれた。

その時の笑顔が、お母さんのお葬式の時に見せたお兄ちゃんの表情とかぶって、俺は悲しくなった。


無理をしてくれたんだと思った。

兄ちゃんはいつも俺に気を使ってくれているって思った。


でも、俺はそれでも中野くんが好きだ。


だから、たった一人の家族を悲しませても、俺は中野くんといつかは一緒に暮らしたい。

兄ちゃんだっていつかはわかってくれると俺は信じることにした。


「ごめんね…なかなか言い出せなくて…」

「ううん、いいんだよ。幸がしあわせになってくれたら、兄ちゃんは嬉しいから。じゃあ、今日は特別においしいものでも食べに行こうか?」




- 94 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -