繋いだ手に残るもの
体育祭はとっても盛り上がり、俺たち三年生はそこで生徒会を引退した。
次の生徒会は中野くんが会長を務めた。
一年生が会長をするのは初めてのことらしい。でも、木村先生が中野くんを押したから認知されたのだと聞いた。
それで、そのせいもあってか、中野くんの人柄が周りに知れ、中野くんのことを怖がる人はいなくなった。
中学時代のお友達も中野くんが完全に変わったのを見て、もう追いかけてこなくなったらしい。
でも、それでも中野くんのことに憧れをもっていた何人かは真面目になって、この高校へ来ると笑って言ってくれたのだと中野くんから聞いた。
そして、訪れた卒業式の日。
俺はやっぱりわかっていても不安で泣いてしまった。
信じていないわけじゃない。
ただ会えなくなるのが寂しい。
忘れられるんじゃないかって、少しは疑っているのかな?
式が終わって、クラスメイトとお話をして、空くんとも別れて、一人、屋上に向かった。
屋上は立ち入り禁止なんだけど、どうしても高いところから学校を見下ろしてみたかったんだ。
「こら、立ち入り禁止の屋上で何をしているんだ!」
俺が鍵を上手く開けて屋上に足を入れると、後ろから声がした。
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