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「ごめんね、大好き…だよ…」

香坂先輩は申し訳なさそうにそう言った。
俺は謝って欲しくない。
貴方の幸せを願うのに…
それがわからない。

だから、ただがむしゃらに思ったことをそのまま伝えたら、
戸惑ったように貴方は「我がままになってもいいの? 求めてもいいの?」とすがるように言うから、

「もちろん言ってください。その方が、俺は恋人みたいで嬉しいです」

俺には気を使わないで下さいと言った。
俺は誰よりも貴方の傍に行きたいって。

そうしたら、貴方は「嫌いになるよ」なんて言うけども、俺は「そんなことない」と言い切った。

よくわからない自信。
だけど、俺はきっと一生、貴方のこと好きでいる自信があった。

なのに、
大切にしたいのに…すり抜けていくような気がした。
いつも香坂先輩は何処かへ消えてしまいそうで…

強く手を握った。
強く貴方を好きだと囁いた。




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