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「なんか…嬉しく…変な話だけど…嬉しくて…」
「え、と…」
どの辺が?
俺、終始格好悪いし。
どの辺が、嬉しい所なんだろう。
「中野くんにも…あるんだって思ったら…嬉しくて」
「俺にもあるっていうのは?」
「嫌われたくない好かれたい…不安だって気持ち」
「……ありますよ、普通に」
「俺、俺だけがこんな風に思っているんだって思っていたから、その…少しホッとした。おかしいよね。うん、自分でも俺は何をどう言ったらこの感情を言えるのかわからないんだけど、そのね」
はにかむように笑うと、香坂先輩は俺の唇を奪った。
突然のキスに俺は固まった。
「中野くん、俺ね、中野くんのこと大好きだよ。一生一緒に生きていきたい」
唇を離すと至近距離で貴方は甘く囁いた。
俺はその言葉にただ頷いてキスをすることしか、できなかった。
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