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「俺も不安だったんですよ。大好きだから…」
「え、俺何かしたかな?」
どうしようといった顔で香坂先輩はあたふたと俺を見つめる。
そういうところが不安なんですよね。
「いいえ、ただ、俺のこと信頼して下さらないんですよね。好きだってたくさん言っても、不安そうにしている。たまに辛そうな顔していても、俺には何も相談してくれないし頼ってくれない。どうしたら、俺は、香坂先輩にもっともっと好かれて頼られて、甘えてもらえるのかなって、ズル賢いこと考えようとしているんです。俺。あまりにも何もかも下手くそで、このままじゃ、そう焦って。意味もなく、他の人にとられてしまいそうで必死で。そんななんか、格好悪い俺だから、不安なんです」
「中野くん…」
「俺の方が不安です! いつか、先輩は俺を置いて消えるんじゃないかって」
……ほら、俺、格好悪い。
貴方のこと慰めようとしたのに、自分の感情をただぶつけて…
きっと、呆れて…
「香坂先輩?」
急にギュッと先輩から俺を抱きしめてくれて驚いた。
「あの…どうしたんですか?」
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