１１
「……あ」
なんだ。
俺はそこで、気がついた。
俺は、中野くんの迷惑になるから、聞きたくないとか、求めたくないとか思っていたけども、本当は違ったんだ。
俺は、俺が、中野くんに嫌われてしまうんじゃないかって、
不安だから、聞けなかっただけなんだ。
言えなかっただけだ。
そう思うと、うっかりと中野くんに近づけた唇を離した。
「香坂先輩…？」
「俺、どうしたらいいのか、わからない」
中野くんのこと好きだけど…
中野くんが俺のこと好きでいてくれる方法がわからない。
俺のこと嫌わない方法がわからない。
わからないことが怖くて…
俺、いつも失うことばかり考えてしまって。
嫌だ。本当はずっと一緒にいたいのに。
こんな俺が嫌だ。
こんな…
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