「香坂先輩、明日の土曜日、空いてますか? よかったら、一緒におでかけしませんか?」

ある日のこと、生徒会室に飛び入ると同時に俺は高らかにそう言った。
でも、そこに香坂先輩の姿はなかった。

その代わりに、空くんが「早退したよ」と教えてくれた。

「そうですか…」

「大丈夫だって。香坂だってもう高三にもなるんだから、自分の管理くらいできるだろうしな」

「…そう、ですよね」

俺は頷くといつも座っている椅子に腰を下ろし、すぐに携帯電話を取り出した。
着信履歴も、メールも来ていない。

連絡くらい、くれてもいいのに…
それともあまりにもしんどくて、連絡もいれられなかったのかな?

いろいろ考えて、それでもどれがどうなのか俺にはわからなくて、
ただ『お大事に』と俺はメールを送った。

返信が来たのは、香坂先輩がいない会議の後で、だった。


『心配かけてごめんね。ありがとう』と。





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