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昨日から考えていた。
ずっと考えていた。
中野くんの、好きはどういった好きなのかなって。

そうしたら、自分の中にあった中野くんに対しての好きはどういう好きなのかなって思った。

「俺、昨日気がついたんだ。中野くんのこと好きだって。だって、キスされて、嬉しいと思ってたから…その…っ」

だんだんと恥ずかしくなってきて、俺は顔を伏せた。
やばい、やばいっ

「でも、こんな感情はじめてだから、よくわからないけど、嫌じゃないよっ」

俺にとっての中野くんは王子様みたいに完璧な後輩でした。
とても人懐っこくて可愛いけどカッコイイ後輩でした。
優しくて、一緒にいたら、ホッとするような、存在でした。

けども、今、俺の前にいる中野くんは、体中擦り傷だらけで、泣いています。

「香坂先輩…幻滅しないですか? 俺、王子様って言われているけど、綺麗じゃない。俺、全然、その言葉の似合わない男です。香坂先輩は、王子様みたいな俺に憧れてくれていたのに…」

「それはそれ。これはこれ。中野くんは中野くん。幻滅っていうより、新しい中野くんに出会えて俺は嬉しいよ」

君が君であるなら、俺は好きなんだと思いました。




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