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「俺は、毎日が平穏であってほしいって思っていたよ。でも、中野くんがいてくれるなら、全然、平気だから」

「平気って…」

「巻き込まれてもいい。だって、中野くんなら、俺のこと助けてくれるよね」

だったら、怖くないよって俺は笑ってみた。
ちょっと自分勝手すぎるような言い方してしまったけど、今の中野くんにはこれくらい言った方がいいのかなって思ったから。
俺は、図々しいかもしれないけども、言葉を続けた。

「俺、中野くんのこと、好きだから。そばにいてほしい」

離れていくなんて嫌だとは言えなかったけど。
俺はそう伝わればいいのにって、中野くんを抱きしめている手に力を入れようとした。

「香坂先輩っこんな時にこんなところでそんな、可愛らしいこと言わないでくださいよっ」

「え?」

「が、我慢できなくなじゃないですか!」

「しなくても、いいよ」

俺は泣いてしまいそうなのを我慢しているんだと思って、気楽にそう言ったら、思いっきり、中野くんに抱きしめられた。




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