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=香坂side=

朝起きて、ハッとした。
よくよく考えてみれば、中野くんは普段から、俺のこと好きだって言ってくれていた。
だから、もしかしなくても、昨日の告白は…たわいのないものだったのかもしれない。

ただ、ちょっといつもより真剣な顔をして中野くんが言うから、深く考えてしまったけど。

それに、キスだって、俺が謝ってしまったらするって言ってたし、あの時確かにそのキスされるちょっと前に俺は中野くんに対して謝ってしまっていたし…


もしかして、俺の考え過ぎだったかな?


急に、自信をなくして、俺はとりあえず、中野くんの出方を見ようと思った。
きっと本気で好きだって、恋愛感情的な意味だったら、アクションを起こしてくれるだろう。
で、違ったら、いつも通り。
そうに違いない。

昨日、一晩考えて辿りついた答えを俺は自分の中で殺す準備を始める。
中野くんのこと俺はそういった特別な意味で好きだってことを。
だって好きだからって、その感情を中野くんに押し付けてしまうのは違うから。

ただ中野くんが『昨日の告白の返事は?』なんて聞いてくれたらいいなって思いながら…俺は家を出た。




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