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=中野side=

告白は言い逃げるように、終えてしまった。

どうせ答えを聞いても、香坂先輩が困るだろうし、これでよかったのかと思う。
思うが、やっぱり、伝えるべきじゃなかったのかもしれないとも考える。

香坂先輩は優しい。
だから、心配。
俺の気持ちを踏みねじらないようにと、いろいろ考えてくれるかもしれない。

俺のこと、考えてくれるのは嬉しい。
でも、重みになんてなりたくない。

香坂先輩には幸せになって欲しいんだ。

「……っ」

ただ香坂先輩に幸せになって欲しい。
そこに嘘はない。
けど、俺は、無理やりにキスをしたのかもしれない。
唇を放しても少し固まったままだった香坂先輩を思い出して、困惑した。

「………さいてっい」

うっかりと香坂先輩の唇の柔らかさとか思い出して、俺はトイレに向かった。
純粋に、思っていたかった。
なのにどうしてこんなにも邪な想いを、俺は思っているのだろうか。
トイレで己の欲望をすっきりさせた時、思わず、泣きじゃくってしまった。

俺は、香坂先輩が好きなだけなのに…




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