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俺は家に帰ると、兄ちゃんに後先考えずに思ったままを聞いてしまった。

「兄ちゃんは、男の人、好きになったことある?」

なんて。

すると兄ちゃんは困ったような顔をして、俺は落ち込んだ。
また、配慮もなく、変なことを言ってしまったのだと。

「ごめんね、深い意味なんてないんだ。ちょっとなんて言うのか、その、うん、たまたまさ、聞いてみたくなってって言うか…うん」

平気平気と俺は首を振って笑った。
自分でも何が平気なのかわからなかったけども。

「変なこと聞いてごめんね」

「…変なことなのか?」

「え?」

普段の人懐っこい顔を引っ込めて兄ちゃんは俺を見つめた。
顔がすごく整っている分、真剣な顔をされると怖い。

「な、幸。人が人を好きになる。そうなると、垣根なんて関係ないんじゃないかな。たとえ、同性でも。兄弟でも。好きになったら、しかたないんじゃないか?」

「そ、そうだよね…うん」




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