46
「おおお俺、中野くんに何かよくないこと言ったかな? 言ったのかな?」
あたふたと香坂先輩は俺の前でせわしなく動いた。
それが、おかしかった。
どうして俺なんかにそんな真剣になってくれるんだろう。
そういえば、はじめて会った時もそうだった。
香坂先輩は俺のことで真剣になってくれた。
まっすぐ目をそらさずに俺のこと見てくれた。
笑いかけてくれた…
それだけなのに特別になった。
大好きだって思った。
一目ぼれなんておかしいって思った。
しかも、俺も香坂先輩も男なのに、なんでって。
でも、今わかったような気がした。
俺は香坂先輩だから好きになってしまったんだろうって。
恥ずかしい話だ。
「そんな、香坂先輩は、何も悪いことなんてしてませんよ」
- 55 -
[*前] | [次#]
目次に戻る→
以下はナノ様の広告になります。