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無意識に、香坂先輩に顔を近づけていた時…
「あれ〜幸、帰ってるの〜っ」
と、男の声がして、俺はハッとした。
そんな俺に構うこともなく(ただ単にあまり意識されていないんだろう…)香坂先輩は「兄ちゃんだ…」と戸惑ったような声を出した。
…香坂先輩が、怯えている?
もしかして、香坂先輩こんなにも可愛いから兄ちゃんが間違えを犯したっておかしくなんて、ない!
「ざけんなっ」
勝手な妄想でいてもたってもいられなくなり、俺は香坂先輩を置いてソファを立ちあがると、玄関へと駆けだした。
俺の後ろからは引き留めるような声が聞こえたような気がしたけど、香坂先輩を怯えされるものなんて許せないっ
たとえ、それが家族であっても、だ!
……だけど、勢い余って玄関から入ってくる男に殴りかかると、思いっきり殴られた。
俺の負けである。
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