31




こんな調子で学校にいても、空くんに迷惑かけてしまうと思って、俺は早退することにした。

帰り道はとても寂しい気持ちになる。

まだ学校に居た方が、俺としてはラクだった。
でも、やっぱり空くんに気を使わせてしまうのは、駄目だし…

「それに…」

昨日の、何処か困ったような恐れているような中野くんの顔を思い出す。
すると胸のなかがチクリと痛んで泣き出しそうになる。
いや、泣きたい…とは別の気分。
でも胸の中から何かがせり上がってくるような感覚は似ている。

「………うん」

これでよかったんだよって俺は自分自身で頷いた。

だって、きっと、俺は学校に居たら、中野くんを見つけて、昨日ことを追及してしまいそうだったから。


どうして、あんな顔をしていたのって。


聞きたくなって我慢できそうにないから。
俺は、いい人でいたいから。




- 40 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -