30




朝から、ずっと、心に穴があいたように…俺は空虚感にさいなまれていた。
やる気が起きない。どうでもよくなる。
こんなんじゃ駄目だ。

せっかく、俺はこうして、ここにいるのに。

何もかもが、全く身に入らなかった移動教室での授業を思い出しながら、俺は、廊下を歩いていた。

「…………」

どうして、こんなにも、不確かに感じてしまうのだろ。

みんな遠くにあるように見える。

自分でさえも、自分ではない、別の生き物のように感じる。


「はぁ…」

思わずため息が漏れた。
ずっと隣にいてくれていた空くんが心配そうに俺を見つめて「どうしたんだ?」と聞いてくれた。
だから、俺は自分の本心を語った。

「自分に対して、呆れたんだ」

「……香坂?」




- 39 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -