30
朝から、ずっと、心に穴があいたように…俺は空虚感にさいなまれていた。
やる気が起きない。どうでもよくなる。
こんなんじゃ駄目だ。
せっかく、俺はこうして、ここにいるのに。
何もかもが、全く身に入らなかった移動教室での授業を思い出しながら、俺は、廊下を歩いていた。
「…………」
どうして、こんなにも、不確かに感じてしまうのだろ。
みんな遠くにあるように見える。
自分でさえも、自分ではない、別の生き物のように感じる。
「はぁ…」
思わずため息が漏れた。
ずっと隣にいてくれていた空くんが心配そうに俺を見つめて「どうしたんだ?」と聞いてくれた。
だから、俺は自分の本心を語った。
「自分に対して、呆れたんだ」
「……香坂?」
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