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「もう、兄ちゃん心配しすぎだよ。俺は大丈夫だから」
「そうか…でも何かあったら、俺に」
「わかってるって、あ、もう行くよ。学校。本当に俺は大丈夫だし、毎日楽しいからね」
うん、だって俺は、毎日楽しく過ごしている。
だって、俺には空くんのようなお友達もいて、中野くんのようになついてくれる後輩もいる。
家には俺のこと世界で一番大好きだって言ってくれる兄ちゃんだっている。
それに、ちょっと責任感と不安があるけれど、生徒会長になって、ちょっとでも学校のためになろうと活動しているのが好き。
俺は、みんながわらっていてくれたらいいと思っている。
そんな理想通りの世界なんてないなんて、言われそうだけど、そう思っている。
…一人の友達の笑顔も守れなかった俺だけど。
きっと、これからは上手くやっていけるんだって、いくんだって。
朝の太陽に瞳を細めて、俺は誓った。
ぽろぽろと流れる涙は一体なんだったのだろうか。
自分でもわからない。
「………なんでだろう…?」
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