「……あ!」

ちょっと時間が立ってから、俺はもしかして、と、気がついた。
中野くんがさっきから俺を見て動かないのは……

「ごめんさないっ」

慌ててドアの前からどいた。もしかして生徒会に何か用事があったのかもしれない。俺が邪魔だったのかもしれない。だけど俺が先輩だから、どいてくださいって言えなかったのかもしれない。

でも、どうしてか、中野くんは固まったまま、動かない。

「あの、大丈夫?」

何処か具合でも悪いのかなって俺は、心配になった。
だって、中野くん、体のところどころに手当てしたあとが残っているし…
俺はおどおどしていた。他に思考が回らなかったんだ。

すると、彼は泣き出しそうな深刻な顔をして、叫ぶような声で、

「一目惚れしたって言ったら、信じますか?」

と、言った。
俺は中野くんの必死さにつられて、焦って、答える。

「え、えと、うん、あるんじゃないかな…」

うん、一目惚れって俺はしたことないからわからないけど。
たぶん…




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