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「香坂お待たせ!」

「あ、空くん」

トイレから帰ってきた空くんと顔を合わせて俺は笑った。
空くんも笑ってくれる。
はじめて長く続いたお友達。
俺にとって空くんは変わらない特別。

でも、中野くんのこと空くんは好きじゃないみたいで、俺と一緒にいるところを見ると、険しい顔をする。
俺はそれがとても怖い。

俺にとって中野くんは大切な後輩だし、空くんも大切なお友達だし。

「じゃあ、俺はこれで帰ります」

俺が凍えた空気をどうにかしようと思っていたら、中野くんがニッカリと笑って、先に帰ってしまった。
でも、これで二人が喧嘩せずに済んだのかもしれない。
中野くんは空くんのこと、どうも思っていないみたいだけど、空くんは中野くんによく怒りつけてしまうから、心配。

「ね、空くん、駅前に行くんだよね」

明らかに俯いたまま険しい顔をした空くんに俺はおどおどした。
怒っているみたい。
俺、何かしたかな、したのかな?




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