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このまま俺の意思次第では無防備に抱かれている香坂先輩をどうにでもできるなんて、余計な感情がささやいている。
でもさ、ぐっとこらえて、俺は香坂先輩の頭をなでた。
猫っ毛が柔らかくて気持ちいい。

「香坂先輩、好きです」

うっかりと俺の口は滑った。
でも、いつもいっていることだし、特別な意味にはとらえられないだろうなって少し安堵した。
それが嬉しいのか寂しいのかちょっとわからない。

「俺も、中野くんのこと好きだよ?」

もぞもぞと俺の腕の中で顔を上げると香坂先輩は油断しきった笑顔で言った。
それが無性に可愛くて仕方なくて、つい、つい、俺は勢いよく、香坂先輩のことを壁に押しつけて、キスをしてしまった。

「んぅ…」

香坂先輩の口から甘い声が漏れて、俺はそれに身体が熱くなって行くのを感じた。
意識が何処か遠くに消えたみたいに、まるで自分が自分ではないかのように、そのまま、次の段階をふもうとした時、下校のチャイムが鳴った。
そこで、俺はハッとして香坂先輩から身体を話した。
香坂先輩はただ俺のことを不思議そうに見つめていた。

「……すみません」

俺がそう謝ると香坂先輩は「何が?」と可愛らしく首を傾げられた。




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