９
＝香坂side＝
「おい、今から定例会議をはじめるぞー」
生徒会室の扉を思いっきり開いて、木村先生は高らかにそう言った。
「て、また中野いないのか？」
「中野くんなら女の子に呼び出されて行きましたよ」
呆れた声を出した先生に、会計の七海ちゃんは冷静に答えた。
…しまった。俺、今日は会議の日なのに、中野くんを呼んで欲しいってクラスメイトの女の子に言われてそのまま伝えてしまった。
もっと俺がちゃんと日付の配慮とかしていたら、どうにかなったのかもしれない。
「木村先生。あの、中野くんがいないのは俺の注意不足なんですっ」
「…はいはい、まぁ、事情はなんとなくわかったから、香坂落ち着け」
「でも、俺…」
先生が中野くんのこと怒るんじゃないかって俺は不安になった。
「大丈夫だって、俺も先生のはしくれ。きっともう少ししたら帰ってくると思うし、中野を怒ったりはしないよ？」
「本当ですか？」
「本当だって！」
「わぁ、ありがとうございます」
- 18 -
[＊前] | [次＃]
目次に戻る→
以下はナノ様の広告になります。