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=中野side=
人は俺のことを綺麗だとか王子様みたいだとか平気で言う。
だけど、俺は人が想像するよりも綺麗な人間じゃない。
「はぁ…」
俺のことを呼びだした女の子を目の前にして、溜息が洩れた。
こんなことで時間をつぶすのは好きじゃない。
呼び出しておいたにもかかわらずに、何度も言葉に詰まる女の子を見ていて嫌気がさす。
どうせ振るんだから、こっちから、先に話を切り出してもいいんだけど。
どうしてか、いちお相手の言葉を先に聞くべきだと俺は思った。
いつもはこんなんじゃなかったんだけど。
そもそも呼び出されても無視していたけどさ、香坂先輩に言われたら、俺も、弱いな。
もしも、女の子と会わなかったらそれが香坂先輩にばれて悲しまれそうだとか、あまりにも無慈悲に女の子のこと扱ったら、やっぱりそれも香坂先輩にばれて怒られそうだとか…
そんなことばかり考えている。
ああ、早くこんなこと終わらせて、香坂先輩に会いたい。
「あの、好きなんです、香坂くんがっ」
やっと言葉が続いたと思えば、女の子はそんなとんでもないことを口にした。
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