4
「え?」
急に真剣な顔をした空くんに俺は戸惑った。
いつもなら『中野くんに対してそんなもの言いやめて』なんて、簡単に言い返すのに。
どうしてだろう、俺はただ黙って頷いてしまった。
あまりにも空くんが、真剣だったからかな?
「まぁ、そんなことよりも香坂」
「な、何?」
「たった一カ月で…いやなんでもない」
ふにゃっと笑うと空くんは誤魔化した。
「そういえば、駅前に新しくできた、おはぎ屋さん行かないか?」
「うん、行きたい。でも、空くん…」
さっきは何を言いかけたの?
とても辛そうな顔をして、諦めついたような笑い方をして。
不安になって心配になって俺がそう聞こうとしたら、空くんは
「おはぎおごってあげるからね」
と、わざと話を戻してくれなかった。
おはぎは楽しみだけど…空くんが元気ないのは寂しい…。
- 13 -
[*前] | [次#]
目次に戻る→
以下はナノ様の広告になります。