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「してないって」
「そう、なら、いいけど」
「……ただ、その、あの時、俺は自分が正しいと思ってそれを押し付けるようにしたけど、やっぱり杉田には迷惑だったかなって思った、だけ…」
「な、わけないだろ! 俺はあれが嬉しかった。だから…余計に好きになった」
「……っ」
急に耳元で、低く囁くから、迂闊にも俺はときめいてしまった。
女の子みたいな反応をして恥ずかしい。
でも、それが杉田が相手なら…どこか微笑ましい気分になる。
「俺も杉田のこと、あの時、ううん、今も、もっと好きになった」
そう、日に日に好きになって、俺は思う。
何処まで好きになるのだろうって。
底はあるのかなって。
「土屋、笑わないで聞いてくれ。俺、たまに、どこまで土屋のこと好きになるんだろうってたまに怖くなるんだ。俺、ただの土屋馬鹿になったらどうしようって」
「…俺もたいがい、杉田馬鹿だから、仲良くなれるんじゃないかな?」
俺はそう言って、また杉田にキスをした。
fin
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