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「俺さ、中学の時、いじめとか見逃せなくて、よく大勢と言い争った。大人はさ、何も気がついてないのかなって思っていた。でも、本当はあいつらわかっていたんだ。わかっていて、自分の不利にならないように、たとえ嘘でも、そっちの肩をもった。俺はそれでもいいのだと、心のどこかでは思っていたんだ」

しばらくして、杉田は中学生時代の話を聞かせてくれた。

「でも、土屋がさ、俺の話を聞いてあの時、真剣になって、関わろうとしてくれたの嬉しかった。嬉しくて、本当は泣いてしまいそうだった。ほっとけばいいのにって思った」

「あの時って?」

「俺と土屋が出会って一カ月たった日、俺が中学生相手にもめた時のこと」

「え、だって、あれは……杉田が悪いんじゃないって思って」

ただそうだ。俺は自分がそう思ったからそうしたんだ。
押し付けがましく。

「……土屋?」

「え?」

「俺、何か、土屋を悲しませるようなこと言った?」

「なんで?」

「辛そうな顔しているよ?」





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