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「変なところで真面目だな」
図書室の先生は溜息をついて続ける。
「また逆戻りしたのかと心配した。それならいいんだ。ゆっくりと俺の本たちと過ごしていけ」
「俺、本は好きですが、読書はあまりしません」
「ただ一緒にいるそれが大切なだけだ」
「そうですか?」
ああ、と先生は頷くと、俺に興味をなくしたかのように、貸し借りカウンターの方に姿を消して行った。
新一年生の噂には聞いていたけど、無愛想な人だ。
だけど、とてもいい人だって俺は思った。
俺のことなんて心配して声をかけてくれたんだろうから。
なんだかわからないけども、俺はそれが嬉しくて、胸の中が躍った。
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その話を土屋にしたら、土屋は興味なさそうに頷いていた。
ちょっと共感してほしいと思っていたから、それが悲しかった。
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